「街の灯」北村薫を読む

「玻璃の天」を読む前に、このシリーズものの第一作を読む。
とは言うものの「玻璃の天」が図書館で貸してもらえなかった次善の策。
でも、結果的に第一作から読んでおいて正解。

よくよく考えると「円紫さんと私」「覆面作家」「時と人」シリーズをみんな読んでいた。
今回の舞台は昭和初期、昭和7年。士族の出で財閥系列の商事会社の社長である花村家の
お嬢さん「わたし」と新任の運転手別宮みつ子「ベッキーさん」との3つの短編。

「虚栄の市」
ふとしたことで知ったサッカレー「虚栄の市」。才能はあるが、身分がない本の登場人物
ベッキー・シャープに惹かれる。
新しく採用された女性運転手別宮(べっく)みつ子との出会い。
事件のキーワードは、江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」。

「銀座八丁」
クラスメートの桐原侯爵令嬢道子に誘われたわたし。本当の目的はベッキーさん。
暗号解読のおもしろさ。

「街の灯」
避暑地軽井沢での出来事。ベッキー・シャープと対極の人物桐原道子の選択。
キーワードはもちろん「街の灯」。ラストシーンのチャップリンに気づく
バージニア・チェリルに何を見たか。

実のところ「わたし」とベッキーさんの関係よりも、ベッキー・シャープと
桐原道子が気になった。身分があるかないかというある意味決定的な違いが
あるにも関わらす、その行動は非常に似かよっていること。動機はそれぞれ
身分を得るためか、その身分を実のあるものにするためとの違いはあるが。

それと時代背景。昭和7年ぐらいから変革のポイントを迎える。
5・15事件、テロ・暗殺の横行、出版法の改正、第4期の国定教科書改訂による
国際協調路線から軍事教育への変更。時代の流れの中で「わたし」とベッキーさんは
どのように歩んでいくのでしょう。う〜む、「玻璃の天」を早く読みたい。
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by lagopus55 | 2007-07-21 00:12 | 読書